飼い犬が突然駆け出し、地面を掘り返しはじめたその場所には一体何が！？

一心不乱に穴を掘るビンカ

「やめなさい、ビンカ!」イヴァンは叫びますが、ビンカはその動きを止める様子はありません。ビンカをその場から離れさせようにも、体が大きくまた本能で動いている動物の力は思った以上に強く、イヴァンの手に負えません。イヴァンがあれこれビンカの気をそらせようとする間にも、ビンカはワンワンと吠えながらひたすら穴を掘り続けています。その日はお墓参りと思われる人が訪れていましたし、もしその中に亡くなった女性の両親や家族がいたら大変です。娘のお墓が荒らしている彼らを見たらきっと警察に通報されてしまうでしょう。

荒らされたお墓

そうこうする間に、ビンカは突然掘るのをやめました。そしてとても悲しそうな表情をイヴァンに向けるのです。イヴァンが下をのぞき込むと、遺体の入ったものと思われる棺の一部が見えました。イヴァンはビンカをにらみつけました。でもビンカはその棺を引き出そうと鼻先や足を使って必死です。その棺を取り出してくれと言わんばかりにビンカはイヴァンを見つめています。この棺を開けるなんて、もちろんできません。でも彼が何もしないとわかったら、ビンカはおそらくその棺をボロボロになるまで爪を立てて壊すことがイヴァンには予想できました。困ったイヴァンはとにかくビンカを連れてその場を去ろうとしたその時、ガタンという音が土の中から聞こえてきたのです。一瞬にしてイヴァンは背筋が凍るような気がしました。